私道は道路? 私道と再建築不可物件の関係をスッキリ解説

再建築不可

私道と道路の違いとは

道路には、公道と私道があります。公道は、国や地方自治体が管理する道路であり、高速自動車国道・一般国道・都道府県道・市町村道の4つにわけることができます。公道は、道路法に基づいて管理や維持がされているのです。

一方の私道には、道路法のようなきまった法律はありません。しいていうならば、建築基準法でしょう。公道は国や地方自治体が道路法に基づいて維持管理しますが、私道は個人や企業が維持管理するものです。私道は、個人や企業が所有する土地の中に道をつくり、道として使われているものをいいます。そのため、道路法よりも建築基準法が適用される傾向があります。

公道は、法律に則って管理されているため、トラブルは少ないのですが、私道はトラブルが多くなりがちです。例えば、私道の所有権や通行権は近隣を巻き込んでの大きな紛争にも発展する可能性があり、土地を購入するときには私道の存在や管理状況をしっかりと調べておくことが大切です。

私道でも「建築基準法の道路」になる実例はあるのか

私道にもさまざまな種類があります。土地の所有者しか通らない私道もあれば、私道とは名ばかりで実際は不特定多数の人が通る私道もあります。不特定多数の人が利用する私道であっても、私道である以上は一般的に所有者が管理することになるでしょう。このような私道は、公道にして維持管理を自治体に任せたほうが費用面でも手間も楽になるかもしれません。

私道を公道にするためには、市町村に道路として認定をしてもらう申請を行う必要があります。市町村は、私道が認定の基準に合っているかを調査して認定を行います。私道が道路として認められれば、維持管理の費用負担は必要ななくなります。もしも認定されなかった場合は「寄附」することで維持管理から逃れられる可能性もあります。

ただ単に私道の管理がわずらわしいだけならば、私道を公道に変えることで解決することができるでしょう。しかし、所有している土地に新たに建物を建てるとき、私道のままでは再建築不可になってしまうことがあります。その場合は私道を「建築基準法の道路」にする必要があるのです。建物を建てるときには道路と接している土地が必要です。私道であっても「建築基準法ができる以前の私道でも道幅が4m以上ある場合」は建築基準法の道路としてみなされます。また、「私道であっても土地区画整理法によってつくられた道で4m以上の道幅がある」場合は建築基準法の道路として認められます。もしも、私道の幅が4mに満たない場合はセットバックすることで建築基準法の「みなし道路」や「2項道路」として認められることがあります。セットバックとは「今は道幅が足りないけれど、建て替えるときには建物の敷地面積を小さくして道幅を確保する」ということです。ただ「みなし道路」や「2項道路」の指定は、土地の所有者の希望や申請によって決められるものではありません。特定行政庁が一方的に行います。

私道でも「建築基準法の道路」にする実例はありますが、建物を建てる敷地面積が小さくなったり、さまざまな手続きが必要になったりする可能性が高いでしょう。

私道と再建築不可物件トラブル例と解決方法

せまい私道にしか接していない土地は、再建築不可物件である可能性があります。これは「接道義務」というもので建築基準法43条1項に決められているのです。接道義務では「都市計画区域内に建物を建てるときには敷地が2m以上道路に接していなければならない」といわれています。私道であってもみなし道路や2項道路になれば「建築基準法の道路」と認められます。しかし、再建築をする場合はセットバックが条件となり、建物を建てられる面積は小さくなってしまうのです。

私道の幅が2mあるにもかかわらず、再建築不可物件になってしまった例もあります。「路地状敷地」とよばれているものです。「路地状敷地」の中には、建物の敷地は2m以上の道路と接しているため接道義務は果たしているのですが、路地の長さが長く、地方自治体が定める条例をクリアできないものがあります。例えば、東京都ならば路地の長さが20mを超える場合は道幅が3m以上ばければ接道要件を満たしたことにはなりません。過去には、路地を広くするためには、路地に接している土地の所有者に囲繞地通行権を主張した例がありますが「接道義務を果たすための囲繞地通行権は認めない」という判決がでました(最判昭和37年3月15日民集16巻3号556頁)。つまり、このケースはせまい私道の路地状敷地の所有者は、隣人に交渉して道幅を広げるために土地を売ってもらうしか再建築をする解決方法はありません。

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