ステップ1: 不動産の土地相続が発生したら「法定相続人リスト」を作る
不動産の土地相続だけに限らず、相続が発生したときには最初に「法定相続人」をリストアップする必要があります。法定相続人とは、被相続人(故人)の財産を相続する人のことです。法定相続人は、被相続人の配偶者と子どもと父母と兄弟姉妹です。配偶者は、必ず相続人になり、それ以外の法定相続人には順位が決まっています。子どもは第一位、父母が第二位、兄弟姉妹は第三位です。相続でもらえる分を「法定相続分」といいますが、法定相続分も相続の順位と組み合わせによって変わります。例えば、子どもがいない夫婦の場合は、法定相続人は配偶者一人です。すべての財産を配偶者が相続します。配偶者と子ども2人がいる場合は、配偶者が半分を相続し、残りの半分を子ども2人で半分ずつにわけます。法定相続人である子どもがすでに亡くなっている場合は、その人の子ども(被相続人の孫)が「子どもがもらうはずだった分」をそのまま相続します。これを代襲相続といいます。
また、被相続人や自分より先の順位の相続人を殺した(殺そうとした場合も同じ)場合や被相続人を脅して遺言書を書かせた場合には「相続欠格」といって相続の権利を失います。このほかにも被相続人の請求により家庭裁判所が「相続排除」を認めた人は相続権がありません。
遺言書で指定されている相続人がいなければ、法定相続人から相続欠格と相続排除になる人をのぞいた人たちで財産を分けることになります。
法定相続人のリストアップと同じように「財産相続目録」も作成します。目録には土地の所在地、地目、面積を記入し、建物は所在地と家屋番号、種類、建坪などを書きましょう。
ステップ2: だれが何を相続するか「遺産分割協議」をする
相続人が決まったら、だれが何を相続するかを決める必要があります。この話し合いを遺産分割協議といいます。
相続財産は、遺産分割手続きが終わるまでは相続人全員の共有となります。遺言書があれば、遺言書に従いますが、遺言書がない場合は話し合いや法定相続分通りにわけることになるでしょう。遺産分割協議の結果をまとめたものが遺産分割協議書です。書類にしておくことであとからもめることを防ぐことができます。遺産分割協議書は、不動産を相続した人が登記をしたり、相続税申告したりするときに必要になります。相続人は遺産分割協議書に実印をおして印鑑証明書を添付します。
不動産の遺産分割協議を行うときにはいくつか注意点があります。実は、不動産のすべてが相続できるわけではありません。借地権や借家権は相続することができます。しかし、公営住宅の使用権は相続することができません。ただ、入居者と同居していた親族は地方自治体の条例にしたがって手続きをすることで多くの場合は住み続けることが可能です。また、お墓も不動産のひとつと思っている人がいますが、お墓は不動産ではありません。さらに、被相続人の不動産に相続人の中のひとりが住んでいることはよくある話です。この場合、その不動産を違う相続人が相続しても不動産を明け渡してもらうことは難しいかもしれません。相続の登記手続きを進めることは可能ですが、名義だけが変わった状態になってしまいます。そのようなときには、話し合いをして分割の方法をじっくりと考えたほうがいいでしょう。
不動産の土地相続で一番時間がかかり、一番難しいところが「遺産分割協議」です。すべての相続人が気持ちよく納得することで、この後の手続きもスムーズに行うことができるでしょう。
ステップ3: 相続の登記手続きをする
遺産分割協議が終わったら、不動産を相続した人は「相続による所有権移転登記手続き」を始めましょう。不動産の登記は、その不動産を相続することが決まった人が地方法務局で行うことができます。登記申請書には、作成した遺産分割協議書(相続人全員の実印押印)を添付します。
登記に必要な書類はたくさんあります。まず「被相続人の誕生から最期までの戸籍謄本」です。手間と時間はかかりますが、役所に問い合わせをして取得することができます。戸籍謄本は住民票がある場所ではなく、本籍がある役所にのみあります。本籍を何度も移動している場合は、現在の本籍地で戸籍謄本を取得し、そこに記載されている前本籍地に問い合わせをして戸籍謄本を取得します。これを誕生の本籍地にたどり着くまで繰り返します。
「相続人全員の戸籍謄本と現在の住民票」も必要です。さらに相続する不動産の「固定資産税評価証明書」「土地建物の登記簿謄本」です。必要に応じて「不在籍証明」や「不在住証明」は必要になることもあります。聞きなれない書類ばかりで、取得するまでに手間と時間がかかる可能性があります。登記は、司法書士に依頼することも可能です。依頼するときには委任状が必要になります。
手続きには、登録免許税が必要です。登録免許税は、不動産の評価額を基準に決められています。
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