不動産売却のながれ
不動産を売却するまでにはステップがあります。全体の流れを知っておくことで、お金の流れや税金を支払うタイミングを知ることができます。
不動産の売却を考えたら、不動産業者や不動産鑑定士に相談し売却価格を決定しなければなりません。相談と依頼する業者を決めたら媒介契約を結びます。業者を売却の代理人とするときには、あわせて代理契約も結びましょう。契約には「一般」「専任」「専属」の3種類があります。そのような契約を結ぶときでも、売り出し前に「瑕疵」を申し出なければなりません。瑕疵とは、売却に出す不動産のキズやトラブルなどマイナス面のことをいいます。売却してから瑕疵が発覚すると損害賠償を請求されたり、契約自体がなかったことにされたりする可能性があるのです。売り出しを行い、買い手が決まったら売買契約を結びます。売買契約時には登記簿謄本や実印や印鑑証明書が必要になります。
引き渡し日は、売却した残金を受け取り、引き渡しを行い、所有権移転の登記を行って終了です。
不動産を売却するときには「お金をもらう」というイメージが強いのですが、実は売却するときにも費用は発生します。まず媒介契約をした不動産業者への報酬です。目安はおおよそ「売却価格の3%+6万円」になります。報酬は、売却できたときに発生する費用のため、売却できなければ支払う必要はありません。その他、売却のときには抹消登記の登録免許税や印紙税が必要になります。司法書士に依頼すれば司法書士への報酬も必要です。これらの費用は引き渡し日までに支払うことが一般的です。
売却した金額が取得価格よりも大きく利益が出た場合には、もうけた分について「譲渡所得税」と「住民税」がかかります。
不動産売却の税金「譲渡所得税」とは
不動産を売却して売却益がでた場合には所得税「譲渡所得税」がかかります。この所得税は、給与所得の所得税とは別に計算しなければなりません。これを「分離課税方式」といいます。
譲渡所得税の計算方法は「譲渡収入-(取得費 + 譲渡費用)-特別控除額 = 譲渡益」で譲渡益を算出し、譲渡益から特別控除額を控除した残りが譲渡所得税の金額です。つまり、譲渡所得税を少なくするためには、譲渡費用をできるだけ多くして特別控除を適用することがポイントになります。譲渡費用を多くするためには、漏れなく入れることです。譲渡費用には「譲渡するときに支払った仲介手数料・運搬料・登記費用・印紙代など譲渡に直接かかった費用」や「賃貸に題していた場合には入居していた人に支払った立退料」も算入することができます。
知っておきたい「3000万円特別控除」について
個人で「居住用」として所有していた不動産を譲渡する場合は、所有期間などの制限なく「3000万円特別控除」が適用されます。例えば、居住用として使っていた不動産を売却したら1000万円の利益が出たとします。居住用不動産には3000万円までの特別控除が適用されるため、税金がかかりません。もしも3000万円を超える利益が出た場合は、超えた部分に所得税と住民税が課税されます。
居住用「3000万円特別控除」を考えるならば、いくつか知っておくことがあります。「居住用」といわれると今現在も住んでいなければならないイメージがありますが、すまなくなってから3年経過した年の年末までに譲渡すれば適用されます。また、譲渡する相手(買い手)が配偶者のように特別な関係である場合は適用されません。
居住用の「3000万円特別控除」があるかないかでは、手元に残るお金にかなり差が出ます。そのため「一時的に住んで居住用としよう」と考える人がいるかもしれません。しかし「居住用」と判定されるには「その人の生活拠点であったか」や「日常生活の状況」などを含めて総合的に判断されることになります。
空き家でも「譲渡所得3000万円特別控除の特例」が適用される可能性もある⁈
相続した不動産の売却を考えている場合は居住していない可能性もあります。「3000万円特別控除」の適用条件は「居住用」です。相続した不動産に住んでいない場合は居住用とはいえません。
そんなときには「相続等により取得した空き家の譲渡所得3000万円特別控除の特例」が適用されるか調べてみましょう。「相続等により取得した空き家の譲渡所得3000万円特別控除の特例」は、令和5年12月31日までに譲渡された不動産に適用されるので、売却を検討している人は早めに検討したほうがいいでしょう。
適用には条件があります。一番ハードルが高い条件は「昭和56年5月31日以前に建てられたもので、売却するときには壊すか新耐震基準に合うようにリフォームすること」でしょう。マンションのような区分所有の不動産には適用されません。昭和56年以前の建物を壊したりリフォームしたりするには数百万円の費用がかかると思われますが、税金と比較して税金の方がずっと高ければ検討してもいいのではないでしょうか。
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