老朽化した古アパート! 再建築が難しい理由
「老朽化した古アパートを再建築したい」と思っても、さまざまな理由で再建築が難しいことがあります。今回は、持て余している古アパートが抱えるトラブルから古アパートの活用方法までを詳しく解説します。
老朽化した古アパートの再建築を妨げる一番多い理由は「入居者が立ち退いてくれない」です。古アパートは築年数が経っているだけに、それだけ長く入居している人がいます。また、古くなったから建て替えをしたいと思っても、再建築ができない可能性もあるのです。例えば、市街化調整区域に建っている古アパートの場合は再建築ができません。ただ、市街化調整区域が決められる以前から建物を建てていたならば「既存住宅」「線引き前住宅」として建て替えは可能です。ただ、埼玉県ふじみの市のように再建築の申請を出してから古い建物を壊さないと建て替えができないことがあります。知らずに先に建物を壊してしまうと再建築は認められません。古アパートは、一戸建てよりも建物自体の大きさが大きいため、解体費用が大きくなります。建物によっては、再建築する費用よりも解体費用の方が高くなり、再建築に踏み切る大きなハードルなることもあるのです。
立ち退きトラブルと判例
古アパートの再建築を決めても、入居者が立ち退かなければ工事は始められません。立ち退きのお願いは、期間満了の1年~半年以上前に通達する必要があります。これは借地借家法26条第1項で決められています。ただ、通達をしても入居者が高齢であったり、引越しの経験がなかったりするときには、立ち退きを拒む可能性があるのです。スムーズに立ち退きをしてもらうためには、引越し業者選びや転居先の物件探しなどの手助けをするといいでしょう。「大家が立ち退けと言ったら立ち退くべきだ」と思う人がいるかもしれません。しかし、現実的には家賃の滞納などがなければ強制的な退去は難しいでしょう。立ち退き料を支払うこともあります。立ち退き料の相場は家賃の半年分です。けして小さな金額ではありませんが、スムーズな立ち退きのためには必要経費かもしれません。できる策をつくし、事前通達をしても立ち退きをしてくれないときには、異議を述べる必要があります。もしも期間満了しても異議をのべなければ賃貸借契約は更新されてしまうのです。これは、借地借家法26条2項で決められています。
入居者の立ち退きはトラブルが多いことも事実ですが、正当な理由があれば立ち退きは認められます。例えば「老朽化」は正当な理由です。古アパートの老朽化が激しく、これ以上住み続けると「倒壊の危険がある」もしくは「修繕するよりも再建築したほうが費用は抑えられる」という理由は過去に正当な理由として認められています。
また、意外な正当な理由では「大家が自分の子どもが結婚する。子ども夫婦を住まわせたいから立ち退いてほしい」という理由も認められています(最高裁昭和29年3月9日判決)。
古アパートの老朽化問題! 解決策はコレ
「老朽化した古アパートを再建築するから立ち退いてほしい」は、立ち退きをお願いする正当な理由です。しかし、現実的には高齢で新しい環境に飛び込めない人に「立ち退いてほしい」とは言いにくいかもしれません。また、入居者が立ち退いてくれても新たにアパートを建てる資金は準備できないという人もいるでしょう。そんなときには、古アパートが建っている状態、入居者がいる状態で売却をする方法もあります。入居者がいる状態であっても、売却することは可能です。入居者にとっても「オーナーが変わる」ということだけなので、立ち退きよりは受け入れやすい条件でしょう。また、売却してしまうことで再建築する費用に頭を悩ませる必要がありません。古アパートでも立地がよければ、それなりの値段で売却が可能です。古アパートを売却したお金で次の新しい物件を購入し、賃貸に出したほうが手間をかけずに早く家賃収入を手にすることができ、資金効率が良いケースもあります。
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